レターニュース

2011年7月20日 ニュースレター 患者の権利 70号


講演会「許されんばい!いのちの格差社会 パートⅢ
  今こそ考えよう いのちを守る医療」
医療が破綻したら命が危なくなる 制度保障へ何が必要か
  伊藤周平教授の講演会に180名 久保井、橋本弁護士が報告

  •  NPO法人患者の権利オンブズマンと医療関係団体でつくる「医療制度改革と患者の権利を考える連絡会」(代表・岡﨑誠福岡県歯科保険医協会事務局長)は6月25日、福岡市で講演会「許されんばい!いのちの格差社会パートⅢ 今こそ考えよう いのちを守る医療」を開催しました。
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  • 伊藤周平・鹿児島大学法科大学院教授(社会保障法、社会政策論)ら3氏が講演・報告し、医療制度の再構築、制度保障のために何が必要か多面的に解明し、入場者と意見交換をしました。

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     伊藤周平教授が「医療制度改革の動向と患者の権利」をテーマに講演し、患者の権利法をつくる会の久保井摂弁護士が「医療基本法および患者の権利法について」、NPO法人患者の権利オンブズマンのオンブズマン会議メンバー橋本良実弁護士が「苦情相談事例の分析と政策提言について」、それぞれ報告しました。
  • 会場の西南学院大学西南コミュニティセンターには180名が参加しました。

  •  伊藤教授は、「命を守る医療制度を再構築すべきだ。
  • 医療がどうあるべきか、患者の医療を受ける権利はどうあるべきか」と問題提起しました。

  •  日本の現状を「医療を受ける権利ではなく、医療を買う権利になってしまい、医療制度全体に広がろうとしている」と指摘し、東日本大震災での原発放射能漏れによる被ばくや震災関連死、被災地での医療を受ける権利にもふれながら、高い窓口負担(一部負担金)と保険料負担が保険証を持たない人や受診中断を生み出していると日本の医療制度の問題点をあげました。

  • 医療保険制度は本来、保険料を払っておいて必要なときに給付(医療行為)を受けられるものであり、日本でも実際に1984年まで健康保険(政管健保)では被保険者本人の一部負担金はなかったとのべました。

  •  「国民皆医療、国民皆保険は、赤ひげ先生のような個人の善意に頼るのではなく、制度としてお金のあるなしにかかわらず必要な医療を受ける権利を保障したもの」だとのべ、国が国民健康保険の医療費への財政負担を増やすべきだと指摘しました。

  •  また、復興財源として政府・与党が検討している「社会保障制度と税の一体改革」、医療費抑制の歴史、医療保険制度と介護保険制度との比較についてのべて、「医療の介護保険化」への危惧を表明し、「患者の権利にとって医療が介護のようになれば、医療を受ける権利が侵害される」と警鐘を鳴らしました。
  •  伊藤教授は「財政が破綻しても、人は生きられるが、医療が破綻したら命が危なくなる。

  • しかも、財源はあり、財政破綻はしないし、消費税を上げる必要はない」「医療を受ける権利をまず保障することが、患者の権利を継続的に保障する第一歩」と結びました。
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  •  久保井弁護士は、患者の権利について「憲法25条の生存権、13条の幸福追求権から直接導かれる、人が自分らしい生を生きる上で欠かすことのできない権利」だとのべ、患者の権利を明確に規定して国がそれを保障する責務があると明記する法律の制定は医療の制度保障を可能にすると指摘しました。

  • 東日本大震災にふれて、「医療が崩壊するとどんな困難が訪れるか大震災は想像力を与えてくれた。医療の不在は社会のもっとも弱い人々を直撃し社会を下支えしていた力を根こそぎにしてしまう」とのべました。

  • 「医療を受ける権利が危うくされている今、大震災後の復興が急務である今こそ、すべての医療の担い手が、医療を守り育てることが国の重大な目標だと見定めて、議論する場を作り法制化への1歩を進めなければいけない」「患者の権利とは、医療者へ向けられた『矢』ではなく、手を携えて国へ施策を要求していく強い理念だ」と強調しました。
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  •  橋本弁護士は、患者の権利オンブズマンが3月に発表した「苦情相談事例の分析と政策提言」について、過去5年間約500件の生の苦情から抽出された患者の要望に即したものだとのべました。

  • 苦情発生から苦情相談までのプロセスについての紛争管理論からの分析、医療事故事例の分析、患者死亡事例の分析の三つのテーマからの分析どれもが「同じ方向の問題を浮き彫りにした」として、苦情解決手続の未確立、事故原因究明と患者・家族への説明・謝罪の不足をあげ、苦情手続の確立など4つの提言を詳しく紹介しました。

  • 事故原因究明と損害賠償責任、謝罪との関係にふれ、医療提供者側に「謝罪すると損害賠償責任を認めるとの誤った認識がある」と指摘。
  • 「過失の有無に関わらず、事故原因の究明と再発防止策は医療の質の向上のために不可欠」とのべました。
  •  講演会終了後、参加者から「今回の講演会で日本の国民皆保険は、もはや形骸化してしまっており、保険証が無いために必要な医療が受けられないといった人が増加傾向にあることを知った。この状況は人間が当たり前に生きる権利が侵害されているということにほかならないと思う」(21歳、学生)

  • 「医者の謝罪について、謝罪という言葉についてのお話はとても勉強になりました。今回の講演、報告で権利特に医療に関する権利について考えるきっかけになりました」(21歳、学生)との感想が寄せられました。

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