主張

主張

先ずは、窓口負担金の軽減を

2009年12月号
 暢 亭
 中医協が開催された。医療側の点数アップの要望に対して支払い側は、深刻な不況のもとでの値上げはまったく認められないという強い態度だと報じられた。医療側の収入アップの要求が、患者側の窓口負担増に直接結びつく今の状態では、医療側と患者側との対立関係も避けられない図式だ。では歯科の診療報酬アップは絶望的な願いなのだろうか。

 今すぐ求めるべきは、不況と雇用不安の真っ只中にある患者・国民の窓口一部負担金を3割から2割、いやゼロ割にすることを要求することだろう。

▼健保の歴史を振り返って見ると、制度発足以来1984年までは、健保本人は初診時だけゼロ円、100円、200円、600円800円と増額されてはきたが、患者窓口負担金は初診時一回のみ、そして「10割給付」という大原則が崩されて「9割給付」に変えられた。一般的には「1割負担」というふうに言われているが、その後1997年には、9割が8割給付に、2003年には8割が7割給付に、と給付率がどんどん低下させられた。保険証を持って行っても国は診療費の7割しか負担しませんよ、という意味であって、「患者窓口負担3割」という言い方では、給付率抑制の本質が見落とされてしまう。

 すでに述べたように7割給付では、患者さんは窓口で3割の定率負担をしなければならないから、保険点数が上がればそれに比例して直接患者自己負担も上がるという利害の対立関係が避けられない。この対立の図式は、国にとって痛くも痒くもないどころか、医療費アップに対する強い抑制力となって、国にとっては計算どおりの嬉しいシステムだったのだ。

▼立教大学の芝田英昭教授の調査では、約63%の人が「3割の自己負担が重い」と答えている。これが「受診抑制」に繋がっていることは明らかだ。だから急病などで受診抑制などしてられないような患者を診る医科の病院では、結果的に「未集金問題」が切実で、2008年の厚労省報告書では、累計未収金が年間で219億円に達している。

 歯科では未収金が起こる前に受診抑制が優先する。所得弾力性の大きいといわれる歯科の特徴であり、そのことが医科以上に歯科の患者減が大きい理由である。もし患者窓口負担がゼロ割もしくは、せいぜい1割程度なら、歯科の受診率は急増するだろう。

 一部負担金を減らす運動は、国民にも喜ばれ、しかも貧困と不況が言われるなかで『一石二鳥』の案だし、医療側と患者側との利害対立の構図を弱体化できる。国は嬉しくないだろうが。

歯科医院の経営と社会保障

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2009年11月号
春日市 大崎公司


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 10月25日に行われた『保険でよい歯科医療を』10・25決起集会に参加しました。その席上、全日本民医連から発表された写真の一枚です。この写真の説明には「早朝から深夜までの重労働で歯科受診が困難だったが、リストラされて通院可能になった。経済状態からして治療継続は出来ない」と付け加えられました。

 最近、歯科医院経営向上のためにインプラントに代表される自費治療の勧誘案内が多く届きます。それだけ歯科医院が厳しい経営環境であることを物語っているのです。自費を増やすことは経宮改善には即効性があることは事実ですが、今の社会情勢下で永続するとは考えられません。先月発表された「貧困率」は15・7%。03年では14・9%で年ごとに比率は上昇しています。この貧困率が上昇している時期に自費が伸びると考えて経営するのは少々無理があります。

 では、歯科医院の経営安定を図るための方法として考えることは写真の様な口腔の方が歯科医院に来院しやすい環境を整えることだと思います。それには市町村レベルでは高過ぎる保険料を引き下げ資格証発行を抑えること、国レベルでは窓口3割負担を2割、1割と軽減すること。そうした社会保障を充実することで経済的理由から治療困難な患者さんが来院可能になり、歯科医院の経宮改善に繋がると考えます。

 最後に「このような口腔内の写真が撮れたのは一度は歯科を受診出来た方々です。今でも受診がままならず、困難で過酷な状態におかれている方はこの世の中にこの数千倍いや数万倍おられることは想像に難しくありません」という説明で締めくくられました。

※貧困率“国民の中に、収入が少なく貧しい人がどのくらいいるかを示す数字。1家族が1年に得るお金(所得)を家族の人数で割り、国民-人当たりの所得を高い順に並べ、真ん中の所得(2006年は228万円)が基準になります。基準の半分(l14万円)に満たない人が占める割合を貧困率で表します。日本はOECD加盟30力国中4番目(朝日コムより)

歯科医師と社会保障

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2009年10月号
福岡市 浦川 修
 「新政権社会保障費2千2百億円自然増抑制を凍結。近頃「社会保障」という言葉をよく耳にするようになりました。私たち歯科医師が社会保障とどう関わっているか少し考えてみます。

 患者数減少、歯科経営難、ワーキングプア歯科医師、歯科医師過剰、最近こんないやな言葉も頻繁に見聞きします。一施設あたり一日来院患者数の平均値は18・9人、最頻値は5~7・5人という統計結果がそれを裏付けています。(平成20年、日本歯科総合研究機構)

 「そういえば患者さん少ないなあ」、「あの患者さん治療途中なのに来院してないなあ」と実感している方も多いのではないでしょうか。実際には景気悪化や格差拡大、貧困化と相まって、歯科にかかりたくてもかかれない、「患者になれない」人々が増えています。

 さらに、高すぎる窓口負担(3割)と健康保険料。特に窓口負担金の高さは先進国中で類を見ないほどのひどさ。このことが、患者さんを歯科医療から遠ざけている実態は無視できません。高福祉の北欧諸国はもちろん、フランスやドイツなど主要ヨーロッパ諸国のほとんどでは窓口負担はゼロ。日本のようにこれほど窓口負担の高い国はありません。

 経済的な理由で、早期治療が受けられない人々。低所得層ほど受診が遅れる→重症化する→診療費用がかさむ→払えない(または、支払いに不安がある)→中断する→いっそうの重症化、この悪循環が人々を苦しめています。

 このことは歯科医院にとっても「悪循環」です。「早期に受診していればしっかり歯を残せたのに…」と、心の中でつぶやくこともよくあります。しかも、歯を残すための治療は、医院経営的にもマイナスの多い診療行為にならざるを得ません。つまり、患者さんの経済的負担はそのまま歯科医療機関の苦しみにもつながっているのです。

 ついこの間まで、この日本でも健保本人はゼロ割負担(1984年=昭和59年まで)や、老人医療費ゼロ割負担(2002年=平成14年まで)だったのです。それが「医療費が増えると国が滅びる」という誤った考えから「自己負担金」の値上げがどんどん進められてきました。

 その結果、歯科医療機関にかかる患者さんの数は負担増前を割り込んだまま回復していません。患者さんは受診機会が金銭的負担で奪われた形ですし、歯科医療機関にとっては経営危機の一因になっています。

 歯科医療は決して贅沢品ではありません。「おいしく食べること」「しっかり噛む事」「すてきな笑顔で話すこと」。歯科医療は人が人間らしく生きるための人権のひとつだと思います。

 私たち歯科医師が「口から」社会保障を充実させる必要を強く感じます。窓口負担金の軽減が歯科医療における社会保障充実の第一歩です。そのとき、私たち歯科医師はもはや『過剰』などではありません。

第45回衆議院総選挙 民主党の圧勝をうけて 

2009年9月号
福岡県歯科保険医協会政策部


 第45回衆議院選挙は「民主党が300議席超獲得か?」というマスコミ・週刊誌等の予想通り民主党の圧勝となった。投票締め切りの午後8時から始まったテレビ各社の選挙報道番組では冒頭から民主党候補の当確者が次々と発表され、更にこれも大方の予想通り自民党の大物候補者の落選を報じた。小泉旋風が吹き荒れた前回2005年総選挙での自民300議席が119議席へ、民主115議席が308議席へ逆転するという波乱の結果となった。

 さて、現下の日本は、戦後最長のいざなぎ景気を超え大企業の内部留保は拡大し、株主配当も優先される中、トリクルダウン(注)としての消費拡大と好景気を国民は味わうこともないまま、昨年末の世界同時不況に突入し、残されたのは派遣労働者の契約打ち切り等の格差と貧困の拡大という状況の中にある。

 医療現場においては〃医療崩壊〃が進んでいるが、これは厚労省官僚の昭和58年の〃医療費亡国論〃に象徴される医療政策の継続によってもたらされたと言っても過言ではない。昨年施行された後期高齢者医療制度は〃高齢者は入院せず在宅で死んで欲しい〃制度と官僚自らが説明するほど悪質である。

 民主党政権は「官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ」を謳っている。このような悪政が改善されることを期待したい。

 民主党のマニフェストでは、子供手当の創設、農業戸別所得補償の導入、公立高校の無償化等、良い事づくめの政策を謳っている。医療に関する政策では社会保障費削減方針の撤廃、医師養成の質と数の拡充、地域医療計画の抜本的見直し等である。しかし、「民主党政策集」に掲載された「厚生」の項に医療保険政策、歯科医療政策は存在するが荒削りであり内容がないし、医療保険に対する官僚による監視に関し政治家の監督がどの様に…機能するのかその答えを見出すことは出来ない。放置された歯科診療報酬点数、矛盾の多い点数設定、平均点が高いというだけで指導の対象とし萎縮診療に誘導する指導大綱等の改革を希望したい。

 民主党の当選議員308名中143名が新人議員である。保険医療とりわけ歯科医療に精通した議員は少ないだろうから、歯科保険医の厳しい現状を理解してもらい、歯科医療制度の中の多くの矛盾を解決していくべく保険医協会が主体となって若い民主党と協議の場を多く設定し、運動することが重要であると思う。
     (政策部)

(注)大企業や富裕層の経済活動を活性化させることによって、富が低所得層に向かって徐々に流れ落ち、国民全体の利益となること。

エゴカーとエゴポイント

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2009年7月号
福岡市 浦川 修
 テレビCMなどでは「エコカー減税」、グリーン家電「エコポイント」ばかりが目に付く。マスメディアはこれら「エコ政策」のもつ矛盾には沈黙しつづけている。

 エコカー購人補助金制度は補正予算で3700億円、エコカー減税は2100億円が09年度予算で始まった。「景気刺激策」と「環境」を理由にしているが、本当に「環境にやさしい」のか。実はハイブリッド車や低燃費車に限らず、もれなく人気車種が対象になっている。また燃費基準がもともと車体重量の重い車種に甘く設定されているため、排気量が多く環境負荷が高い車種ほど減税率が高くなる問題や、ハイブリッド車であれば燃費性能に関係なく免税される問題も指摘されている。軽自動車の「アルト」が50%減税なのに対し「レクサス・ハイブリッド」が100%減税になるのはその一例である。

 地球温暖化がこれだけ問題になっているときに、なぜ自動車の利用を奨励するのか。「高速道路1000円乗り放題」や「道路建設」には熱心で、公共交通機関利用促進や自転車、カーシェアリングの利用者には恩恵がない。

 グリーン家電・エコポイント制度も始まった。予算規模は2950億円、こちらも「景気刺激策」と「環境」を理由にしている。生産誘発が4兆円、CO2削減が10年間で4000万㌧、地デジテレビ普及効果が1500万台と言われている。しかしこれも机上の空論にすぎない。大型テレビ、大型エアコンなど電力消費量の一番大きなものを買えば、たくさんのエコポイントがつく。大量生産・大量消費こそ、環境・エコから一番かけ離れているのではないか。モノを大切に長く使うこととは明らかに矛盾する。

 自動車もテレビもエアコンも買った人だけが得をする。国民平等の環境対策に使ったほうがよい。一時的ブームで高額商品が売れても、「期間限定」であるだけに、いずれ特需は終わる。需要の先食い・前倒しが起こるだけで、ブームが終われば需要が枯渇し「不況」に逆戻りすると誰もが予想する。

 エコポイント主管のひとつ、環境省のホームページを見ると、「製品の製造、使用、廃棄といったライフサイクル全体でみてみると逆にCO2排出が増加してしまう可能性もあります…」との注意喚起がしてあった……。

 大企業エゴ、財界エゴ丸出しのエコ政策の数々。定額(低額)給付金につづき、エコの名を借りた大規模な選挙買収だ。今必要なことは自動車・家電メーカーへの利益誘導政策ではない。真の意味で国民の懐を暖める所得保障対策と、安心して生活できる環境対策が求められている。ざっと8750億円。社会保障自然増抑制2200億円の4年分。しかも、そのツケは将来の消費税10%以上への増税。こんなエゴは許しておいてはいけない。そのためにも賢く政治を監視しなければ。

今こそ「医療の拡充」を

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2009年6月号
北九州市 杉山 正隆
 大型連休をはさみ世界中に拡がった新型インフルエンザ。国内でも感染拡大が続き学校の休校など大規模な措置が取られたが、病原性が想定より低かったこともあり、諸外国では早期治療や病弱者対策に重点をおいた冷静な対策が取られた。しかし、わが国では舛添要一厚生労働大臣のメディアへの露出が目立つ一方、「封じ込め対策から早く政策転換すべきだ」と内外から批判が出た。

 完全防備した検疫官らが飛行機内で消毒作業する映像が繰り返し流された「機内検疫」など日本は極めて異例の対応を取ったが、WHO(世界保健機関)は、「検疫に感染症の拡がりを減らす効果は認められない」との見解を5月7日に改めて発した。機内検疫をはじめとする封じ込め対策は効果が薄いことは専門家では「常識」だ。

 各国はWHOや米国CDC(疾病対策センター)と連携を密にし、感染の特徴を分析し政策に素早く反映させた。香港では、入国者に対し質問票の提出が課され検疫官からの質問はあったが、予防法や早期治療を呼び掛ける文書や放送が流された。韓国、タイ、スリランカ、UAEでは通常と変わらない対応に見えた。

 国内では、ニュースも多くを「新型」が占めた。先行して流行した関西への修学旅行のキャンセルが相次ぎ、関西空港の店舗が倒産に追い込まれ、感染者の出てない沖縄旅行まで激減するなど過剰反応や風評被害は数え切れない。マスクには飛び散る唾液を防ぐ効果しかないのに全国で売り切れが続出し、マスクを再利用する歯科医院も出た。

 日本のように「狂想曲」に踊らされた国はない。第2波やH5N1など病原性の高い「新型」が近い将来やってくる。

 国は感染症外来を各地に整備したというが、真夏や真冬には使えない「運動会のテント」程度の設備だ。強力に推し進めた医療費抑制策の影響で、医師や看護師が不足する「医療崩壊」に至った現状では感染症の対応は不可能だ。

 今こそ、不採算を理由に廃止を進めた公的病院を復活させ、医療体制を大幅に拡充する必要がある。予防と早期治療を確実に行い、妊産婦や乳幼児、ぜん息、糖尿病などの病気を持つ人の体調管理を徹底すべきだろう。

 また、歯磨きや口腔清掃など感染症予防に有効だと分かっている方策を、歯科の専門家として助言することも可能なのではないか。

 国の膨大な情報発信やマスコミ報道は、その意図はともかく、偏見や差別を生み出した。きっと来る「真の新型」に向け、残した課題は大きい。

「高すぎる窓口負担と保険料負担を考察する」

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2009年5月号
福岡市 浦川 修

 97年に健保本人の窓口負担が1割から2割に引き上げられ既に10年以上。03年に2割から3割に引き上げられてからでも5年以上が経過しました。

 この、たび重なる窓口負担の引き上げで受診率・受診者数ともに落ち込み、壮年期の患者数は年間でピーク時を50万人も減少しており、とくに歯科医療機関の患者数は負担増前を割り込んだまま回復していません。また、民間医療機関の未収金は累計で426億円に上り、病院経営を悪化させる大きな要因のひとつにもなっており、医療崩壊を加速させているとも言われていますし、患者さんからも受診の機会を奪うことにもつながっています。

 しかもこの間11年連続で自殺者が3万人を超え、その自殺の理由には「経済的理由」とならんで「健康上の理由」が上位に挙げられていることも見逃せません。

 財政再建に名を借りた「医療費抑制」政策が、いかに国民生活(いのちと健康)を切り捨ててきたものかをうかがい知ることができます。

 問題は、重い窓口負担金だけではありません。「無保険」「資格証」「短期証」での受診を調査した福岡県保険医協会(医科協会)によると、非正規の保険証での治療中断は、「無保険」受診者829人のうち205人(中断率24.8%)「資格証明書」で受診した47人のうち10人(同21・3%)「短期保険証」で受診した349人のうち43人(同12・3%)と約2割が治療を中断している実態が明らかになりました。重い保険料負担(とくに国保料)のため保険料を払うことができず、医療給付を制限されているのです。長期通院が一般的に必要になる歯科では、もっと深刻な受診抑制が起こっていることは容易に想像できます。

 医療機関受診のためのこの「高すぎる」2つのハードルは、医療から患者さんを遠ざけ続けています。経済の疲弊・賃金の減少で生活の苦しいなか、やっとの思いで高額の健康保険料を払っても窓口負担金の高さのために受診を手控え、早期発見・早期治療が阻害され、重症化して、結局のところ医療費は膨らみます。この点を見ても、現行の財政再建のためという医療費抑制策が失敗していることがわかります。

 「格差社会」がいっそうの貧困を拡大再生産しています。セーフティネットの充実などと耳障りのよい言葉がしきりに聞かれるようにはなってきましたが、所詮「自立・自助」や「中福祉・中負担」といっているようでは根本が違っています。日本の医療保障制度は憲法25条(生存権)を基本に現物給付を特徴としています。つまり、受療権は金銭負担能力を前提にはしていないものなのです。

 受診機会を公平に保障し早期受療が確保されなければ、重症化により医療資源の損耗や労働力の劣化は否めず、社会的な損失は免れません。また、「保険契約」という点でも、受診機会の不平等性から問題を多く抱えているのです。

「入会のおすすめ」

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2009年4月号
福岡市 大水 継圭

 現在、当協会の会費は月額4000円ですが、その内1000円は保団連へ拠出されています。従いまして、協会の活動は3000円分で運営されています。郵便物や出版物を発行して郵送し、皆様への情報提供を行っています。また一方で、行政や役所に抗議したり、申し入れをしたりして、皆様の待遇改善のための活動も行っています。

 皆様からいただいた貴重な会費ですから、大切に使わせていただきますが、予算が多ければ多いほど、有効な活動ができるのは当然です。予算を増やすためには会費、すなわち会員が増えることが重要なのは、どんな組織でも同じです。会員に利益をもたらす組織は会員数を増やしています。

 では、会員の利益とは何でしょうか。私は、一番大きいのは情報だと考えます。個人レベルでの情報収集には限界があります。スピード、正確さ、情報量に関しましては、組織の力にはかなわないことは明白です。

 めまぐるしく変わる保険診療のルールのみならず、経理をはじめとする税金やお金のこと、従業員の雇用や教育に関する労務のことなど、覚えなければいけないこと、知っておかなければいけないことが多数あります。

 情報以外にも、グループ保険という団体保険の保険料を一般の生命保険と掛金を比較していただくと、グループ保険の方が割安な場合が多いです。この差額が4000円以上になる場合もありますので、加入された先生はこの件だけでも元を取っています。

 また、保険請求に関する電話相談も受けられます。自分で名前を名乗って役所に質問をすると目を付けられるのではないかという心配をしてしまいますが、協会の事務局に質問してもらえば、名前を明かさずに役所からの回答がもらえます。

 個別指導時に弁護士が帯同できることは特筆すべき魅力です。行政手続法や人権を無視したような指導が行われたり、理不尽な返還金を要求されたりして、自殺に追い込まれる保険医もいる中で、私たち保険医の側に立って人権を守ってくださる弁護士が同席できることはお金に変えられない精神的な安心をもたらします。

 例えばもし、先生方が税理士や会計士から協会費を削りましょう。退会しましょう」というアドバイスを受けたときに、「いいえ、協会からは協会費以上の利益を得ています。退会することは損です」と皆様に断言していただける組織にならなければなりません。
またそう思って頂ける様に、今後とも協会は活動していく所存です。

「カルテは遅滞なく記載すること」とは?

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2009年3月号
福岡市 浦川 修

 歯科医師として、私たちは日々カルテ(診療録)を書き続けています。患者さんの主訴や症状経過、処置・診療内容、保険算足根拠などにとどまらず、時には患者さんの生活状況や家族とのやりとりまで、まるで日記のようにカルテを記載することもあります。歯科医療を行う上でも、保険診療上もカルテ記載が義務付けられており、「遅滞なく記載すること」とされています(歯科医師法第23条・療担規則第22条)。

 さて、「遅滞なく」とは一体どのような意味なのでしょうか。

 一般に「遅滞なく」とは「事情の許す限り最も速やかに」という意味です。ちなみに、「直ちに」のときは合理的な理由があろうとなかろうと即時性が求められることから「遅滞なく」よりも緊急性があり、「速やかに」のときはできるだけ早くという程度であって即時性までは求められないことになります。(なお、「直ちに」→「速やかに」→「遅滞なく」の順で緊急度が下がります。参考:法律学小事典・有斐閣)

 「個別指導の現場では、「カルテ」の記載を基に行われます。対象カルテの患者名簿は指導前日にファクスで通知されます。カルテだけでなく、大量の持参物を整理するのは事実上前日の休診を余儀なくされ、大変な労力を強いられます。

 もちろん、すべての「対象患者」の診療内容を暗記しているわけでもなく、カルテ等を見直し、診療内容を確認することも円滑に指導を受けるためには必要な作業です。

 指導を実施する社会保険事務局(現在は「九州厚生局」)が前日に対象カルテを通知する理由として「カルテの改ざん・捏造等を防ぎ実効性ある指導にするため」としています。もちろんカルテの虚偽記載等はあってはならないことです。(歯科のカルテは「まるで請求用紙」や「料金明細」とも言われ続けてきました)

 しかし、なぜそれがカルテの確認作業をも困難にするような「前日」通知の理由になるのでしょうか。(とんだ「懇切丁寧さ」で「周知徹底を図る」ものです)また、指導前日にカルテの間違いを見つけて訂正することは「遅滞なく」に当たるのでしょうか。

 それとも「改ざん」なのでしょうか。

 近年、診療報酬改定のたびに、カルテの記載事項が増加する傾向にあります。患者さんと医療者とのやり取りの克明な『生活の記録』とも言うべき「診療録」が、本来の目的をますます変質させられ、行政の都合によってゆがめられてきていると感じます。穴だらけの制度をわざわざ作っておいて、その中に落ちる保険医を恐怖政治的手法で従属させる手段のひとつに「カルテ」も成り下がってしまったかのようです。

 患者さんと私たちとの貴重な記録である「カルテ」について、まさに「遅滞なく速やか」に考え直す時期に来ているように思います。

 患者さんと医療者が日常的に診療情報を共有することは、医療における信頼関係を築く基礎でもあるからです。

レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟に一人でも多くの参加を

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2009年2月号
福岡市 大水 継圭

 レセプトのオンライン請求義務化が原則2011年4月から完全実施されようとしています。レセプトオンライン請求義務化については、保団連及び当協会でも再三問題にしてきたところであります。

 義務化に伴うレセコン導入、スタッフの教育、運用に伴う費用の問題、そして情報漏洩の可能性の問題、さらには画一的な審査、減点の対象となりやすくなること、個別指導の資料として利用される恐れもあります。

 レセプトオンライン請求義務化は、医療機関、患者双方のためにならず、保団連としましては反対撤回を訴えてきました。反対署名を厚生労働大臣に提出し厚生労働省交渉も行ない、国会でも取り上げてもらいましたが、現状ではオンライン請求の義務化は撤回出来ていません。

 そこで、残された手段として神奈川県保険医協会が窓口となり、「オンライン請求の義務化を規定した省令に従う義務が存在しないことを確認する」訴訟を起こす準備をすすめ、10人の弁護士が弁護団として参加し、さらに法的な理論構成を強化する為に早稲田大学大学院の岡田正則教授にもご協力頂いて、1月21日に横浜地裁へ提訴しました。
 この訴訟の原告には全国各地からどなたでも「義務化」に不満や危機感を持つ歯科医師、医師であればなることが出釆ます。原告になっても裁判に出廷する必要はありません。名前を公表したくなければ匿名でも原告団に参加できます。

 今回の裁判は当事者訴訟という訴訟形態で行ないますので、それぞれの原告の訴えについて確認することになりますので「訴えの提起」費用として、原告一人につき収入印紙代1万3千円がかかります。それ以外の費用は神奈川県保険医協会が負担します。

 今回の提訴は義務のないことの確認に加え、一人当り約110万円の慰謝料の支払いも請求しています。収入印紙代は慰謝料の請求のために使われます。「上手くいけば、1万3千円が110万円に化けるよ」と言う口の悪い先生もいます。

 神奈川協会では、裁判を優位にするために、世論を味方につけたいと考えています。また、裁判の中でオンライン請求の問題点を明らかにしていき、オンライン請求義務化は保険医の問題だけでなく、国民全体に大きな影響を与える問題と問うことを広めることができれば、世論がこの裁判を後押ししてくれることが期待できます。

 ちなみに1月21日の提訴に参加したのは神奈川県など35都道府県の医師と歯科医師961人です。2月1日現在、福岡県の医師・歯科医師から166人が参加しています。

 今後の追加の提訴もできますので、一人でも多くの先生方が原告団に参加されることを願っています。

―年頭所感― 「住みやすい社会を目指して」

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2009年1月号
福岡県歯科保険医協会 会長 小林増藏

 皆様、明けましておめでとうございます。昨年中は会員の皆様、そして会員外の皆様からも署名活動等に多大な御賛同と御協力を頂き、有難うございました。

 さて、昨年を振り返ってみますと、世界ではアメリカ史上初の黒人のオバマ氏が次期大統領に選ばれました。また各地でテロ活動が起こっています。インドでは10カ所の同時多発テロが起きました。また32万トンの巨大タンカーが海賊に乗っ取られました。

 国内では安倍首相に続き、福田首相が9月に突然辞任してしまい、その後、麻生さんが国民の信を問うこともなく総理大臣に就任しました。「財政難だ」「財政難だ」と言い続け毎年社会保障費を2千2百億円も削減し続けている中で、突然2兆円もの定額給付金を全世帯に配布すると言い、アメリカに行くとIMFに10兆円を拠出すると明言しました。つまり財源はあるのです。誰に向けて金を出すかというだけの話しだったのです。

 新たに4月から実施された後期高齢者医療制度は、有病率の多い高齢者のみの保険ですから支出は必ず増えます。増えたら保険料を上げるか、医療費を減らすかしかないのです。夫婦2人共75歳以上なら2人共保険料を支払わされ、月3万円以上の年金受給者からは年金から天引きするのです。残りの2万円そこらで生活しろというのです。さらに医療機関に行ったら1割から3割の窓口負担が待っています。あまりの過酷さに参議院では後期高齢者医療制度廃止法案が可決されました。与党側は無責任だと罵るのですが制度そのものがあまりにも無責任なのにその反省は全くありません。

 いつも申し上げますが、「権利は与えられるものではありません。絶えず言い続けなければ押しつぶされてしまうのです」

 年間3万人以上もの自殺者、産みにくい、育てにくい社会に対して、なんら抜本的対策は今だなされておりません。世界で一番素晴らしい制度だと絶賛された国民皆保険制度も、今ズタズタに崩壊しつつあります。

 この住みにくい日本社会に対して、私たち一人一人がやれることからやりましょう。まもなく総選挙があります。選挙は国民が国政に参加できる唯一の手段です。チェンジ(変革)を目指して投票に行きましょう。

「無保険の子ども」の受療権を確保せよ

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2008年12月号
福岡市城南区 横田 晟

 厚労省は今年10月、全国調査で「資格証明書」交付世帯数は約33万世帯、この世帯のうち中学生以下の子どもの数は3万3千人と発表した。しかし『この数には自治体によって数値を把握できず、「不明」と報告されている場合があるから留意が必要』と注意
書きされている。つまり子どもの数はもっと多くなるということだ。

 さらに重要なことは、「短期被保険者証」交付世帯の子どもの数が計上されていないことだ。

 「短期被保険者証」は長期に亘って保険料を支払うことができない世帯が数ヶ月間分だけ保険料を納付し、短期間(京都では6ヶ月)有効な保険証を交付してもらう制度だ。経済的に大変な世帯であることには間違いない。この点では「資格証明書」交付世帯と同じだと捉えるべきだ。今年10月の全国調査ではこの部分が欠落していることは問題だ。

 昨年6月の厚労省調査によれば「短期被保険者証」交付世帯数は116万世帯に上る。この数は「資格証明書」交付世帯数約33万世帯の実に3・5倍にもなる、単純に「資格証」交付世帯の子どもの数に比例させると実に11万6千人の子ども達に相当する。これだけの恐るべき数の子ども達が調査から外されている。

 大阪府内のある小学校では虫歯の治療の受診率が年々下がっており、10年前は75%だったが今年は58%に落ちた、理由は経済的に行けない家庭が増したからという。
子どもの歯科冶療は短期間では完了しない場合が多く「短期被保険者証」では対応できない。国民の口腔の健康保持の為に独占的免許を与えられている歯科医師は率先して他の医療従事者と共に 国・行政に改善を働きかける権利を有しているの だから行使しようではないか。

 また、日本は国連総会で採択された「子どもの権利条約」を1994年に批准している、第24条「健康医療への権利」には「批准国はいかなる児童も到達可能な最高水準の保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力する」と記されている。
2008年10月16日の国会質疑で麻生太郎首相が「(世帯主と)別人格の子どもが
被害者のようになっているのは、配慮すべき要素である」と運用見直しを検討する意向を示している。政府は医療を受ける必要のある「無保険の子ども」達の受療権を経済的側面から緊急に確保するべきである。

「少子高齢化と社会保障」

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2008年11月号
北九州市八幡西区 居林 晴久

 多くの問題を抱え不安定な社会情勢の中で、経済発展の鈍化および少子高齢化は、先進国のみならずアジア諸国にも及んでいる。

そして高齢化率世界最速の日本はあと数年で、シンガポールは2020年後半から、そして中国でさえ2050年代に超高齢社会に突入との予測がなされている。

 この問題が、社会保障の進展・維持に影響するのは必至だ。

 日本においては、赤字財政のもと増税と消費減少との連鎖による経済の慢性的低迷、また超高齢化社会などが国家的問題となり、社会保障費削減や医療改革の流れとなっている。

 しかし、社会保障の維持どころか崩壊の危機に直面しており、国民の大きな不安材料となっている。

 もはや、少子高齢化は避けられない国の政策課題であり、医療制度と福祉制度改革が避けられないのは周知の事実である。

 同時に、増加する社会保障費と国の負担率の問題解決も避けることはできない。このような中、医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内に抑えたいという主張は支払い側から見れば当然であり、また少子高齢化の進行は構造的に現在の制度を維持することを困難にしているということも事実である。

 しかし、社会保障制度は重要であり、また国の政策目的は国民の生活の保障にあるはずである。

 この観点から、保健医療専門職としての政策研究の重要性、そして国民の健康を守る役割の重要性に、我々の存在意義がある。

 このような社会保障の危機にあって、我々医療専門職は行政の医療政策を実施または批判するのみでなく、医療政策そのものを立案すべきであり、その手法を確立することが望ましい。

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「レセコンオンライン化のコストは?」

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2008年10月号
糟屋郡 加藤 明彦

 レセプト(Rezept)はカルテと同じドイツ語で「診療報酬明細書」ということは誰でも知っている。このレセプトの提出が紙媒体でしか認められていなかったものが、あと2年少しで電子媒体でしか.認められなくなることも(レセプトオンライン義務化)医療関係者ならだれでも知っている。

 では、詳しい内容は?と問われると漠然としか分からないとの答えが多い。「レセプトは保険医の血と汗の結晶」と表現した先生がいたが、保険医療のシステムが大きく変換しようとしているのに現場に対しての分かりやすい情報が不足している。

 歯科診療所では平成23年(2011年)4月1日からレセプトはオンラインのみの受付になる。(月平均50件以下は少数該当で例外)

 問題点はたくさんあるが、今回は費用について考えてみる。
①レセプトコンピュータ(レセコン)約300万円
 現在、歯科の約8割が導入済み。簡単に言うとレセプトを印刷する機械。「印刷した紙」を提出すれば良かったものが、オンライン化でそのまま紙では出せなくなる。
②レセ電(ソフト)25万円
 レセコンのデータを
オンラインで送れるように変換するソフト。ソフトだけでは動かないのでハード(別にパソコン)も必要。
③ハード(レセ電を動かすパソコン等)14・2万円
④回線費用(専用回線使用料)7・2万円(年額)
(金額は支払基金の概算より)

 つまり、レセコン以外に「送るためだけのパソコン」が必要になる。レセコンを導入済みの医院でもオンライン化に伴いソフトのバージョンアップなどの費用が別に発生する可能性が高い。回線費用はもっと安いサービスが出てくることも考えられるが、月に一度データを送るためだけの専用回線はもったいない気がする。

 もちろん、これらのコストは歯科医院が負担する予定である。数年に一度はパソコンの買い替えやソフトのバージョンアップによる費用も当然発生するであろう。セキュリティの費用や人件費なども別にコストがかかることになる。

 約40万円と毎月6000円払って医院に何かいいことがあるのか?このようなオンライン義務化はIT業界を活性化させるために零細な医院を泣かせる冷酷な政策としか思えない。

 オンライン化のすべての費用を国や自治体がもつか、義務ではなく選択の余地を残すのが当然だと思うが、いかがであろうか。

「個別指導時に弁護士帯同は必要なのか」

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2008年9月号
福岡県歯科保険医協会 会長 小林増藏

 8月中旬、当協会第26回夏期学習会を開催した。2人の弁護士を交えて「個別指導と監査について」を学習した。特に個別指導と監査の歴史を見ると、三つの特記すべき点があった。

①個別指導と監査は、監査が先で個別指導が後に始まった事(昭24年保険財政に赤字が出て、基金の支払いが遅れ保険財政の赤字減らしの為に監査要綱が定められ、昭和27年から人権無視の監査が実施された。水野・稲葉旋風が吹き荒れ、監査後の保険医の自殺が相次いで起り、国会でも論議されたが、監査だけでは運用が困難な事から昭和29年に指導大綱が出来、昭和32年に健保法改正があり、指導・監査にやっと法的根拠が出来た)。

②平成5年に行政手続法が成立、個別指導も行政指導の一つになった事。

③しかし、現実には、個別指導は行政手続法の枠を越えて運用されている。

 では、個別指導とは何かと言うと、保険診療の取り扱い、診療内容、診療報酬の請求などについて、療養担当規則等のルールに沿って行われているか、懇切丁寧に教育的観点から指導するという事である。

 次に監査とは何か、又どこが違うのか。監査は診療報酬の請求について、不正又は著しい不当が疑われる場合、事実関係の実地調査を行い、警察・検事・判事の権限を持つ技官が保険医療機関と保険医の指定取り消しを執行できるのである。

 昭和35年に、「厚生省と日医・日歯の申し合わせ」が成立し、「保険医の指定の剥奪は死活問題であるので、監査による一罰百戒主義を改め、たとえ不当が疑われても、指導を優先して実施し、問題の酷いもの、改めないものは監査の対象とする」(昭和35年3月1日「全国技官会議」)という方針が明示された。

 しかし、個別指導の現場では、数名の事務官・指導官に囲まれた密室の中で、保険医は人権を無視した暴言に打ち砕かれる。「貴様の様に、高い薬ばかり使うから保険財政が破綻してしまうんだ」、「お前、すべてを失うぞ」、「今から診療室に行って受付・助手たちに聞いてもいいんだぞ」、「監査に移行するぞ」。

 福岡県でも平成16年に個別指導時に、指導官の暴言に気分が悪くなって救急車で搬送された例がある。

 当協会は、不正・不当を無罪放免してもらう目的で弁護士帯同を企画したのではありません。密室の中での保険医としての権利を守り、懇切丁寧な指導を受けるため、弁護士帯同は有効な対応策であると信じ、実現しました。

 今年に入って、すでに6件の弁護士帯同がありました。新規個別指導・個別指導・監査の通知が来たら、1人で悩まないで下さい。1日も早く保険医協会にお電話下さい。自分と違う視点から、対策を考えてみる事が出来ます。(「福岡県歯科保険医新聞」2008年9月20日号より)

「対立をやめて、育てましょう」

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2008年8月号
福岡市東区 松浦 美智子

 薬害エイズ裁判を、実名公表で闘った川田龍平君とその母親の勇気に感動したのは何年前だっただろう? 最近朝のテレビで、彼の結婚相手がジャーナリストの堤未果(ツツミ ミカ)さんと知って、彼女の著書「ルポ貧困大国アメリカ」を読んだ。すごい人がいるものだと感心していたら保団連夏季セミナーで講演をすると聞き、何はさておいても話を聞きたいと思い参加した。

 話の内容前半は、自身が体験した9.11テロ以後のアメリカの変化である。米国野村証券勤務中に遭遇したテロ以後ジャーナリストになった彼女に言わせると「テロ以後アメリカのジャーナリズムは死んだ」それは9.11以後米政府が出した3大政策によるものだ。

 その第一は、「自己責任」 のキーワードのもと行われた社会保障費の削減。第二は、「テロとの戦い」 のキーワードのもと個人情報の一元化。(「落ちこぼれゼロ法案」ができ高校生が戦争屋の餌食になっていく)第三は、本来政府がするべき仕事の「民営化」。これにより災害対策は置き去りにされ、防衛の民営化まで始まった。

 貧困層がさらに最貧困層に追い詰められる「貧困ビジネス」。中間層でも一度の病気で貧困層に転落する社会。それは「教育」「いのち」「暮らし」という国民に責任を負うべき政府の仕事を「民営化」した結果である。

 それだけではない、格差を作るのは次の「戦争ビジネス」「戦争の民営化」 へのステップの一つに過ぎない。これをアメリカだけでなく世界中に拡げつつあるという事実。

 彼女の話を聞きながら日本でも民営化を推進し、「規制緩和」による「自由競争」を推し進めた結果、「格差」が広がったことを思い、次のステップが来るのかと思うとぞっとした。(氏の著書によるとOECDにおける相対性貧困率ランキング(2006年7月)はアメリカについで日本は第2位になっている)

 しかし彼女は後半で未来への「希望」を話した。追い詰められ捨て駒にされた兵士や労働者たち、息子を戦争で失った母親たち、路上のホームレス帰還兵たちが運動の中心になって、平和を求め、貧困の撲滅を掲げた新しい運動が始まりつつあることである。
「大企業がメディアを握っている今、少数の声はなかなか届き難いが、手段はある『合衆国憲法を学ぶこと』、『対立をやめて育てること』だ。教師や母親。弱者のあきらめない力が、よい政治家・企業を育てる、地域から育てる、メディアも育てる」と、未来への希望を語った。

 堤さんは、よく通り聞き取りやすい声で、誰にもわかりやすい話であった。その彼女が、福岡県で話をするとのことである(9月21日、春日市クローバープラザにて福岡県母親大会の記念講演)
皆さん是非聞きに行きましょう!

「5分で抵抗する医科、15分も物言わぬ歯科」

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2008年7月号
福岡市南区 浦川 修

 4月の診療報酬改定から早3ヶ月が経過した。今回の改定をみなさんはどのように感じているだろうか。前回改定に比べれば算定要件の緩和や新規技術の導入もあり、比較的「穏やかな」改定と思われているかもしれない。

 ところが、医科では歯科ほど穏やかではなく、むしろ「激震の」今次改定のようだ。ひとつめは、「主病はひとつ」の「後期高齢者診療料」、そしてもうひとつは「外来管理加算」に「5分ルール」が導入されたことである。特に外来管理加算の「5分ルール」は「概ね5分を超えて直接診察を行った場合に算定できる」という、医療の質を時間で評価するかのような制度で、診療所や中小病院にも深刻な影響を及ぼし始めており、医療崩壊に拍車がかかると一般のマスコミでも報道されている。医科診療所・中小病院の反発は強く、保団連もこの「5分ルール」についての検証と反論、撤廃要求を行っている。また、この「5分ルール」策定のために厚労省が中医協に示した資料は「平均診療時間」とは無関係の「時間外診療に関する実態調査結果」の数値を基に作成されたものであり、別件調査を目的外に不正流用されていることまでも明らかになった。

 保団連の批判を受けた厚労省は、逆に保団連に対して抗議文を送りつけてくるという異例の対応を見せており、ますます予断を許さない展開となっている。

 歯科の私たちからみると「たかだか5分じゃないか」と思ってしまう。確かに私たちの歯科保険診療ではすでに時間要件は導入されており、なんとなく日常診療に馴染んでしまっている。しかし、立ち止まってよく考えてみると、「なぜ実地指導は15分以上なのだろう」「なぜ補管は2年と決まったのだろう」といった疑問が多く出てくる。「5分ルール」の経過を垣間見ると、歯科での算定要件も「これって、根拠あるデータから導き出されの?」と強く疑いたくなる。これだけにとどまらず、歯科点数表には、不可解な項目が山積みであり、なんら根拠の説明を求めることなく現在まで来てしまっている。

 今からでも遅くはないはずだ。算定要件策定の根拠など、説明責任を果たさせるよう粘り強く検証と改善要求をし続けることが重要である。

 また、この厳しい時代だからこそ、保険診療を大切にし、正面から捉える姿勢こそ私たちに求められている。

「交渉すれば変わる厚生労働省」

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2008年3月号
春日市 大崎公司

 診療報酬改定の中医協の答申が、今回は2月にあった。通常であれば3月上旬から中旬にされることが慣例になっていたが、今回は約1ヵ月早く答申がなされた。周知徹底という観点からするとよい方向になったことであるが、問題は中身である。

 細かな点数及び変更点等については、全国保険医新聞に記載されているので参照して頂きたい。気になる改定率は、歯科診療報酬本体0・42%の引き上げと言われているが、これは全くの詭弁であり、薬価・材料費を1.2%引き下げてあるから、全体では0.82%の引き下げになると、宇佐美保団連副会長の談話の通りだ。

 点数が算定出来るか否かは、通達等の運用で大きく変わるので、点数表に掲載はされているものの算定困難となることを大変危倶する。前回の改定での「普処」16点などは甚だしい例だ。

 「チェックバイト」400点なども、臼歯一歯欠損では算定出来なくされてしまった。

 さて、前回(2006年)の改定で最も臨床現場を混乱させたことは「患者・国民の視点の重視」と称し、全ての指導管理料に文書提供を強いた制度にしたことにあった。大量の文書を毎日書くことが厚生労働省の考えでは「良い歯科医」と言わんばかりで、一見して無駄と思える時間を1日、数十分費やし、1年間で換算すれば何+日分もの時間を取っている。果たしてこれが国民のためになっているのか甚だ疑わしく思う。外科処置の連続である歯科医療の実態には全く合っていない。「他の歯科にかかったとき先生はパソコンばかり見て、文章を書くのに一生懸命で十分に診療してくれなかったから来ました」との患者さんの言葉を思い出す。

 今回の改定では、これらの文書提供が少しではあるが緩和された。この2年間、保団連は厚労省との交渉を何度となく繰り返し行なってきた、その結果が反映されたものである。小切手を袖の下に入れるやり方よりも正面切って正々堂々と改善要求するほうが正道であるし、厚生労働省の官僚も高い意志を持った善良な人間であるから話せばわかる。

 当協会の先生方には、臨床現場にそぐわない制度に対する多数の御意見を頂いたこと、またそれで勇気づけられ交渉の原動力となったことに厚く感謝いたす次第です。
 今年の保険改定のアウトラインが見えてきたが、今後とも諸先生方から多数の御意見を頂き、今後の活動の支えとしたい。