2003年3月15日〜3月23日の報道から
―最新医療情報ダイジェストー
(メディファクス、Japan Medicineなどより作成)
◆社保審・医療保険部会、75歳以上で区切る制度設計に否定的意見
医療保険制度の見直しを検討している、厚生労働省の社会保障審議会・医療保険部会は3月22日、高齢者医療の制度設計について議論した。75歳以上は一般医療保険とは別立ての制度にすることについて、委員から「75歳で区切ることの根拠が薄弱」などと、否定的意見が相次いだ。
政府の基本方針は、65〜74歳の前期高齢者はそれまで加入していた国民健康保険、被用者保険(政府管掌健康保険、組合健保)に継続して加入、75歳以上の後期高齢者は別立ての新しい保険制度を創設する考えを打ち出している。後期高齢者の制度の財源は、高齢者が支払う保険料、公費のほか、一般世代が支払う「社会連帯的保険料」で賄うとしている。
75歳以上を別立てにすることについては、「(病気にかかったり、寝たきりになったりする)リスクが高い後期高齢者だけで制度の持続が可能なのか」(久保田泰雄委員・日本労働組合総連合会副事務局長)、「前期高齢者も後期高齢者も等しく年金受給者。年金受給者という観点から制度を考えていくべきではないか」(下村健委員・健康保険組合連合会副会長)などの意見が出た。
組合健保、国保関係者らは、「社会連帯的保険料」についても、「現在の老健拠出金との違いがわからない」と不満を示したが、岩本康志委員(一橋大学大学院経済学研究科教授)は、高齢者を一般世代で支える仕組みは入れざるを得ないとしたうえで、「いかに公平で国民が納得できる形にしていくかを考える必要がある」と指摘した。
また、制度設計を考える際の基礎資料になるように、医療費や保険財政の将来推計を示すよう求める意見もあった。これに関連して青柳俊委員(日本医師会副会長)は、現在実施されている保健事業や、生活習慣病の予防対策、医療の技術革新などで予測される医療費節減効果を織り込んで推計するよう要請。
保険財政が破綻するといった悲観的データを出して、必要以上に国民の不安をあおることがないよう注文をつけた。(3月22日「JMA PRESS NETWORK」)
◆規制改革・民間開放推進3か年計画を閣議決定
政府は3月19日、「規制改革・民間開放推進3か年計画」(2004〜06年度)を閣議決定した。総合規制改革会議が昨年末にまとめた答申に沿った内容。重点計画事項では、株式会社による医療機関経営の解禁について、構造改革特区での実施状況を見ながら全国的取り扱いをどうするかを逐次検討するとした。医薬品の一般小売店での販売は、安全性に問題がないとされた約350品目について、薬効成分を変えることなく、医薬部外品としての販売を認める措置を直ちに講じるとしている。
同日の閣議では、総合規制改革会議の後継組織として、民間人で構成する「規制改革・民間開放推進会議」を設置することも了承。関係閣僚と同会議の主要メンバーで組織する首相直属の「規制改革・民間開放推進本部」と連携して、「規制改革を強力かつ着実に推進する」としている。(3月22日)
◆自民・大島慶久氏、参院選出馬せず、日歯連の疑惑影響か
今年7月の参院選愛知選挙区(改選数3)への立候補準備を進めていた自民党の比例区現職、大島慶久氏(63)が、立候補を見送る意向を関係者に伝えたことが3月19日、わかった。大島氏の出身母体「日本歯科医師連盟」をめぐる政治献金疑惑のため、党本部が大島氏擁立に難色を示していたことが要因とみられる。党県連は大島氏の意向を確認した上で、予備選3位だった会社員の寺西睦氏(39)を軸に候補者を選ぶとみられる。
大島氏は3月18日夜、歯科医師の会合で「出馬は厳しい状況になった」などと述べ、立候補に向けた運動を今後は行わない意向を示したという。
自民党は、愛知選挙区に元衆院議員の浅野勝人氏(65)を公認し、今月に入ってから2人目を擁立することを決めた。大島氏は予備選挙で2位となり、党名古屋市議団
の支援も得て、立候補に強い意欲を見せていた。
しかし、日歯連が国会議員に政治献金をしながら、政治資金収支報告書に記載していなかった疑惑があり、東京地検が捜査している。党本部は県連に対し、愛知県で2人
目の候補の擁立を認めたものの、大島氏では公認・推薦は難しいとの意向を伝えていた
という。(3月21日「朝日」)
◆「峻別問題」で質疑、日歯第149回代議員会
3月11日〜12日の両日に開かれた日本歯科医師会第149回代議員会の個人質問で久保木弘代議員は、日歯と日歯連盟の峻別について執行部の考えを求めた。
久保木代議員は2月2日に東京地検特捜部の強制捜査を受けたことを「大きな汚点」と述べ、日本歯科医師会と日本歯科医師連盟の峻別について「会長、会計担当の役員人事を明確に峻別すべき」と主張した。
清藤勇也副会長は、連盟人事について「日歯連盟諸規則に則って決められている」とし、日歯と連盟の関係については「学術団体として事業を遂行しようとする時に、学術団体として限界があるので、連盟とともに活動していることが表裏一体と言われる所以」と答え、「峻別を求められても連盟所規則の問題もあるので連盟評議員会の意見を聞き、連盟役員会で十分検討すべき事項」と、峻別は日歯連盟で決めるべき問題との認識を示した。
◆臼田会長、日歯連盟問題で謝罪
臼田貞夫会長は、2月2日に東京地検特捜部が政治資金規正法違反の疑いで捜査に入ってからのこの1ヶ月のマスコミ報道等を巡る騒動について、冒頭あいさつで、全国会員と代議員諸氏に対し「色々と迷惑をおかけし、心からお詫びする」と謝罪した。しかし問題の詳細についての説明は捜査中ということで「コメントは差し控えたい」とした。
会長あいさつに対し、太田代議員から議事進行として、会長の責任について「代議委員会は会長を選出した責任ある場だ。捜査中ということは関係ない。身上進退を明らかにして欲しい」と回答を求めた。(3月15日「歯科通信」など)
◆厚労省、給食差益の実態調査へ
厚労省は、いわゆる給食差益の問題について病院の実態調査に乗り出す。3月12日、東京で開かれた日本精神科病院協会の診療報酬改定説明会で、医療課担当官が明らかにした。実態調査は04年度に実施する計画で、調査結果をもとに中医協調査専門組織のひとつ、医療機関のコスト等分科会で議論する。この問題については財務省が昨年、病院給食の外注委託料と入院時食事療養費の格差が1日453〜820円にのぼり、これが病院の給食差益になっているとして問題視。今回の診療報酬改定で議論になったが、見送られた経緯がある。このため厚労省は次回2006年診療報酬改定で検討課題になると見通している。(3月15日MEDIFAX)
◆総務省、全病院・有床診への重大医療事故報告の義務づけを勧告
総務省は3月12日、217医療機関に行った実態調査をもとに、「医療事故に関する行政評価・監視結果」をまとめ、重大医療事故の報告を全病院・有床診療所に義務づけるなどの改善策を厚生労働省と文部科学省に勧告した。厚労省は2004年度から、大学病院や国立病院などに絞って、重大事故の報告義務化を開始する。実態調査では01年1月〜02年10月の間に、17施設で91件・29類型の類似事故が繰り返されていたことがわかったほか、取り違えやすい医薬品を近接して保管するなど、2割の施設で医薬品管理や投薬業務などに「医療事故につながるおそれ」があることが判明した。調査は02年8月〜11月、計217医療施設を対象に行った。(3月16日MEDIFAX)
◆日医、「医療の実践と生命倫理」報告書を公表
日本医師会は3月16日、第8次生命倫理懇談会がまとめた「医療の実践と生命倫理」に関する報告書を公表した。報告書は、(1)医師・患者関係(2)自己決定(3)出生(4)末期医療と患者の死(5)医療と社会、の5項目について、医療現場に焦点を絞り、「医療倫理」の考え方を示した。「末期医療」については、判断能力を失った患者に代わって延命治療の中止を決定する代理人を指定しておく制度がないことを指摘。任意後見契約法のようなヘルスケア分野での代理人制度の整備が「将来の立法課題のひとつ」だとした。また「出生」関連では、着床前・出生前診断の問題に関する考え方について、現在の医療水準や価値観で安易に受精卵の段階で選別をしてよいのかなどの批判もあり、今後さらなる議論が必要だとした。(3月17日MEDIFAX)
◆愛知県保険医協会、敬老パス有償化で名古屋市長らに抗議
愛知県保険医協会(堀尾仁・会長)は3月19日、04年度からの敬老パス有償化について、松原武久・名古屋市長と同市議会各会派に抗議文を送った。
保険医協会は県内の医師、歯科医計8,530人で構成。開業医の9割、歯科開業医の7割が加盟している。抗議文は、(1)利用者の減少が寝たきり高齢者の増加を招き、国民健康保険などの財政圧迫になる(2)財政難を理由とするならば、公共事業のムダにメスを入れるべきだ(3)松原市長の3年前の選挙公約に反する――と主張している。
3月18日に閉会した市議会では、市原案の最高負担金額の1万円を5,000円に引き下げる修正案が与党3会派の賛成多数で可決されたが、これについても「市長を支持した3会派も公約違反の責任は免れない」と批判している。
◆坪井日医会長が会見、「日本の医療のために全力投球した」
今期限りで会長職を引く意向を明らかにしている、日本医師会の坪井栄孝会長は3月23日会見し、「日本の医療、地域医療のために全力投球した。仕事に悔いるところはない」と日医執行部での16年間を振り返った。「(政策の)基調には国民と人類の平和があったつもりだ。日本医師会長、世界医師会長の職務を通じて『医の倫理』に徹した」と胸をはった。
坪井会長は1988年に常任理事として執行部入り。92年には副会長となり、96年から4期8年にわたって会長を務めた。00年には世界医師会長にも就任した。
会見では、常任理事・副会長時代の印象深かった出来事として、救急救命士法の制定、介護保険制度の創設にかかわったことをあげた。とりわけ、介護保険では、行政審議会に日医がはじめて意見を提出し、議論のたたき台として採用されたことに言及。これを契機に社会保障政策決定のさまざまな場面に独自案を提示する現在の日医のスタイルが確立していったことを示した。
会長就任後、小泉内閣が発足してからは、首相がかかげる構造改革プログラムのなかに、「医療・介護・福祉などの社会保障は国家安全保障のひとつとして国が充実整備していくべきものだ」という考え方を組み入れ、社会保障費については抑制一本槍の国の予算配分のあり方を抜本的に改めさせることに力を注いだ、と表明。会長職を離れても、「日本の医療の在り方、社会保障の在り方について、あらゆる機会を通して主張していく」と話した。
また、医師技術料などの本体部分にはじめて切り込んだ02年4月の診療報酬改定については、「社会の現状に即応した日医の対応」と説明、「先生方には迷惑をかけたが、10年後、20年後には日医がとったマイナス改定の意味が国民により理解されるようになる」と見通した。
この時、日医はサラリーマン本人の医療費3割負担を導入しないことを条件にマイナス改定を受け入れたが、「財務省の長年にわたる陰謀で実施された」。坪井会長は、その結果、1兆2−3000億円の医療費が節減されたとし、「わたしたちが努力して提供した財源を国がどう使おうとしているのか、これからもしっかりと推移を見守っていきたい」とした。(3月23日「JMA PRESS NETWORK」)