これから新規に開業する先生に
次回の「新規開業セミナー」はグレードアップ!!! Vol 7)
2010.12
11月3日に行った「新規開業セミナー」・・20人の参加者がありました。参加された方々には今後も情報などをお知らせしたいと思います。
来年は、もっとグレードアップした形で開催いたします。先日の組織部会で次回開催が決定しましたので、また改めてお知らせします。
勤務されている先生のほとんどが「開業していく」となんとなく感じられていらっしゃるようですが、具体的に、何をどうしてよいものか、何から手をつけたらいのか、どういう手順なのかがわからないうち、日々が過ぎていく。そんな状況が感じられました。これは、今開業している先生方におかれても、以前通った道でもあります。誰もが苦労し経験した開業までの過程であります。
開業までの心配の次が、開業したが経営はうまくいくのか。失敗しないか。失敗したらどうしようか。そんなことでしょう。不安が先に立つのも事実です。
開業して順調に行っていても経営の問題はいつも心の底には付いてまわります。これは、この記事を書いている私自身もそうであります。反対に考えると、こんな心配が一生付いて回るのがどうしても嫌なら、開業などしない方がいいということも言えます。ただ、歯科医が、一生勤務医として生きていくのは甚だ困難です。勤務できるところがあまりにも少なすぎます。これもまた事実です。八方塞がりな環境であるのです。
閑話休題
経営に対してどういったデータがあるのか、なども時々質問があります。「新規開業セミナー」の席で出されたデータを少し出します。
診療単価(一人一回の治療費)・・615点
1施設の外来患者数・・・・・・・・・・19.2人
一年間の診療日数・・・・・・・・・・・301日
(平成21年社会医療行為別調査から)
保険収入がこれから 6150×19.2×301=35542080円
あくまでも、平均ですので、これ以上の先生もあると思いますし、それ以下の先生もあります。参考まで。
他に、自費診療分が挙げられますが、新規開業時からあまり期待しないほうがいいかと個人的に思っています。
一年間の診療に日数が301日ということで、これは非常に多い、という感覚を持ちました。休診日を考えると常識的には一年365日、52週間、祝日が15日、盆、年末年始の休みを合わせて8日くらいとして計算すると290日。その上、何か学会や役所の関係での休診があると仮定すると280日くらいが診療実日数と考えるのが妥当と思いますが、歯科業界の現実として売り上げの悪さを、診療日数でカバーしている、もっと言うと、健康を犠牲にして診療しないとやってられないという構図が出来ているのです。
さて、3554万円ほどの収入で借金払いながら、経営していく時、例を出さないと実感がないということに気づきました。次回は「これから新規に開業する先生に」vol 1からのグラフを参考にあるシュミレーショ ンをしてみようと思います。
融資の相談 一体どうすればいいのか(これから新規に開業する先生に Vol 6)
2010.9
今回は、11月3日(祝) 13:00~16:00 に当協会で行われる「開業セミナー」に合わせてお話しようと思います。
さて、今から銀行に行き融資を受ける相談をする際、一体どうすればいいのか、どのような準備が必要かということです。開業してしまった後に、ああすればよかった、この方が有利な融資が受けられたのに、とか言うお話は、当協会の組織部部会や、経営の勉強会の時に話題として上ります。
いろいろな金融機関で開業資金の融資を受ける時、借り受け金額、支払い期間、金利、担保、連帯保証人などどんな条件があるのか皆目見当がつきません。
9月の上旬に当協会組織部会の席に福岡銀行営業部の方にお越しいただき、新規開業の融資のお話を伺いました。
以下その時のお話です。
福岡銀行では「歯科開業サポートローン」という新規開業に合わせた融資があります。
大きな点で4つのポイントがあります。
1. 融資金額最大5000万円、返済期間最長15年
2. 担保・保証人が原則不要
3. 最長12カ月まで元金据え置きが可能
4. 団体信用生命保険に加入すること
諸要件として
無床歯科診療所を開業する歯科医(医療法人は対象外)が利用できる
借入時年齢30歳以上45歳以下
歯科医免許取得5年以上経過していること
開業場所は福岡県内
団体信用生命保険の加入が認められること
福岡銀行の指定する歯科経営コンサルタントとの面談、ヒアリングが必要
開業資金全体の5%以上の自己資金が必要。
診療報酬振込口座は福岡銀行に指定
返済期間中は試算表、確定申告書等の資料を提出すること
その他
諸条件は当日福岡銀行の方から説明がありますので参加されて直に聞いてください。
配偶者のいらっしゃる先生は、配偶者のいらっしゃる先生はご一緒に参加してみてください。
開業は家族の理解、協力なしでは出来ません。
やる気はあっても事業計画も資金計画もない無鉄砲な開業ではうまくいくはずがありません。これらがしっかりしていて、先生ご自身の確固たるやる気のあることが必要条件になります。
以前にもお話しておりましたが、固定経費、変動経費、収入曲線、損益分岐点のグラフを先生ご自身でかかれるようにされてください。そうすることで経費を抑える要素が理解できます。それと、借入金額と支払利息、支払い期間を入力し毎月の支払金額がすぐにわかるソフトを用意していますので、これらを利用しご自身で事業計画を立てることをお勧めいたします。ソフトはフリーで張り付けておりますので、ダウンロードされてください。
ソフトがダウンロードできなければ当協会にご一報ください。
11月3日に福岡県歯科保険医協会会議室でお会いしましょう。
プラスになるお話があります。
借入金限度額を考える (これから新規に開業する先生に Vol 5)
2010.6
開業資金は、勤務医時代にある程度貯蓄して、金融機関で残りを借りて調達するというのが一般的です。思い出せば、私もそうでありました。
開業資金をどの程度貯めればよいか、という質問をよく聞きます。当然、開業資金は全額勤務医時代に貯めることができれば借金はありませんので、資金の面では楽に開業まで漕ぎつけます。でも、そんな先生は聞いたことがありません。
単刀直入に言います。どの程度の金額をかけて開業するかによりますが、テナント開業で4000~5000万円くらいを例にとりますと1000万円~2000万円くらいは貯金がないといけないと思います。勤務医時代に、稼いだ給料を使いたいだけ使い、貯金がない状態で金融機関に行っても、経済的感覚がないと判断されてしまいます。借金しても支払い能力のない、経営能力のない人物と評価されてしまいます。いわゆる門前払い状態になります。
借入金限度額を考えるときの3つのアプローチがあります。これは神奈川県保険医協会の資料からです。大変参考になりますので紹介します。
1. 返済期間から逆算する方法
10年返済だとすると・・・120回
1か月15万円返済が可能なら→1800万円借りられる
1か月25万円返済が可能なら→3000万円借りられる
15年返済なら・・・・・・180回
1か月15万円返済が可能なら→2700万円借りられる
1か月25万円返済が可能なら→3000万円借りられる
2. 活動年数から考えた方法
40歳で開業し、25年間65才まで働くとすると比較的長めの無理のないプランが組める。
50歳開業なら、15年間65才とすると長期の借り入れは難しい。自己資金を多く持たないと出来ない。
もちろん生活費も必要でしょうし、子息の学費など私立大学の医療系に進学すると考えた時には支払い以外に相当な資金が必要となります。
3. 用意できる自己資金から考える方法
たとえば、住宅購入の際、物件価格と頭金の関係・・・頭金は3割程度あることが望ましい、と言われます。
開業時も同様で、3割程度の自己資金を用意すべきであります。
金融機関が快く融資するのは、3000万円程度と考えるべきです。
銀行は、自己資金のボリュームで開業予定の先生の信用力、経営力を判断している。
☆年収500万円、自己資金なしで3000万円の融資を受けようとすると強力な人的・物的担保がなければ、まず不可能。
☆年収1200万円、自己資金1000万円なら、3000万円融資を受けやすいモデル。
融資を受ける時には、銀行の融資係の方との面談になります。しっかりした事業計画、資金計画を持っていかないと、先生の「人物」を見られ、ともすると経営力がないと判断されてしまいます。
金融機関からの融資を受ける時、年利何%で返済期間何年、だとすると月いくらの返済になるか?非常に気になる問題と思いますが、これは、「これから新規に開業する先生に」のvol 1で書きました。計算ソフトを張り付けておりますので、是非ダウンロードされてご利用してみてください。
また、事業計画を立てるとき、損益分岐点や来院患者数と売り上げのグラフはvol 2で言及しておりますので、参考にされてください。
グラフの作り方など分からないところがありましたら、いつでもご質問くだされば懇切丁寧にご指導いたします。
機材や材料をどうやって調達するか (これから新規に開業する先生に Vol 4)
2010.2
いままでのお話をちょっとしておきます。最初、損益分岐点の出し方、固定経費をどうやって下げるか、収入曲線をどのように出していくかなどをお話ししました。なお、借入金とその利率、借入期間により毎月の返済額が決まりますが、その計算式はWeb Siteに張り付けておりますのでご利用ください。
さて、今回は機材や材料をどうやって調達するか。という簡単ですが、ちょっと考えないと開業資金が数百万円くらい上がりも下がりもするというお話です。もちろん、開業資金が潤沢にありお金に糸目をつけない先生にはこのようなお話は必要ないです。
大きなものではチェアーユニット、レントゲン装置、それにコンピュータが挙げられますし、石こう、セメント、ファイル、印象剤など細かなものを出していたらキリがないくらいの材料を購入していく訳です。リースの先生もいらっしゃるかと思いますが、基本的に開業資金がなるべく大きくならないようにするというコンセプトは同じです。
チェアーやレントゲンはまず、メーカーのショールームで仕様などを見比べる必要があります。チェアーやレントゲンに拘りがある場合は別ですが、そうでないなら必ず数社のショールームに行き、先生ご自身の目で診療スタイルにあったものを選んでください。たくさん機能がついているものに目が向いてしまいがちですが、最低どれだけ必要かが分かればいいのです。例を挙げると、タービン2本にマイクロモーター1本が多いかと思いますが、タービン2本にマイクロモーター2本のものもあります。当然、マイクロモーター1本分(ホースとマイクロモーター)の費用が掛ります。チェアーにコンピュターのディスプレイが付いているのもありますが、先生ご自身でコンピュータを購入されディスプレイも付けたならもっと安くなることもあります。ですから「自分はこれが必要、それ以外はいらない」くらいな気持ちで見るのがいいかと思います。
そんな信念を持って機材メーカーを回られるとある程度グレードや値段が決まってきます。直接購入するのはメーカーからではなくディーラーなのでピックアップした数社のチェアーをこれまた、複数のディーラーに見積もってもらいます。そうです、相見積もりを取るのです。ここが肝心です。開業の時にはこの相見積もりを取らないことが多いというお話を聞きました。こう書いている私も実は相見積もりどころか複数のメーカーのショールームに行かず1社だけで決めてしまいました。
そのほかの材料や器具ですが、ディーラーからだけではなく今では通信販売を使うという手段もあります。オートクレーブなどは歯科器材としてではなく、医科器材のディーラーで購入するとかなり安くなることも知りました。
私たち、福岡県歯科保険医協会ではこれから開業する先生へ、こういった具体的なノウハウなどお話しする開業説明会を予定しています。日時などは当協会まで連絡ください。
「損益分岐点の把握」 (これから新規に開業する先生に Vol 3)
2009.5
これから新規に開業する先生へ続編をUPしたところ思わぬ反響がありましたので続きを書くことにしました。
Webに掲載する数字はかなり条件を絞っていますので、個人的なことは、福岡県歯科保険医協会事務局(TEL 092-473-5646)まで連絡くだされば幸いです。
今回は、「損益分岐点を把握すること」
前回で固定経費と変動経費があること、借入金の利率、借入期間のお話をさせていただきました。借入金利率とその期間、一か月の返済をお知りになりたい先生は、貼り付けているEXCELから数字をインプットしてください。あっと言う間に分かります。
固定経費と変動経費のグラフから、その損益分岐点を探すこと。「経営の原点はコレだ」と個人的には位置づけています。
固定経費と変動経費のグラフをそれぞれ グラフ1、グラフ2として下記に記します。
固定経費は売り上げに関係がないので横一直線になります。
変動経費は売り上げに比例するので一次関数のように売上に比例するグラフになります。
そこで、経費総額のグラフは グラフ1 及び グラフ 2 を加えたものになることは容易にお分かりかと思います。それをグラフ3 とします。グラフ3
支出総額を示すグラフ3まで出来上がったので、あとは収入を示すグラフを書き込むだけです。
収入のグラフは原点を通る右肩上がりのグラフですのでグラフ3に書き込みますと次の通りです。
収入のグラフと総経費のグラフの交差するところが損益分岐点になります。
さて、上手な経営ということでお話するとなると、この損益分岐点をいかに低くするのか?ということに経営の手腕が問われることになります。
収入のグラフや固定経費、変動経費のグラフの取り方など詳細は福岡県歯科保険医協会までお問い合わせください。
開業前にどうするか?経営手腕をシッカリと把握しておかないと損益分岐点が異常にグラフ右の上に来ることがあれば経営は苦しくなります。
固定経費について (これから新規に開業する先生に Vol 2)
2009.4
「新規に開業する先生に」として最初は、初動資金をお話ししました。
さて「開業した」として、毎月の収入と支払いが発生してきます。支払いは固定経費と変動経費に分かれます。
ここでは、最初に固定の支払(固定経費)について考えてみたいと思います。
固定経費としては、家賃(地代)、人件費、リース料(リースがあれば)それに借入金の返済が挙げられます。
まず、借入金についてお話いたします。付属資料として上記のEXCEL表をみてくださればすぐ分かります。例えば、開業資金のうち3000万円を、年利2.0%、返済期間20年としてみると、毎月151765円の支払いが発生します。これは、経営が順調であろうがなかろうが必ず口座から落ちます。
この条件でシュミレーションしてみます。
1月当たり家賃が30万円、人件費(ボーナス、健康保険、厚生年金など)70万円、リース料10万円。それに金融機関への支払いが151761円(約15万円)とするとこれで固定経費は110万円+15万円=125万円かかります。
次に、変動経費。
売上の約30%として変動経費がかかるとします。簡単に言うと、「100万円の売り上げに対して30万円は出ていく」ということです。
もしも1か月300万円の売り上げがあったとして、固定経費は125万円(前述)、変動経費は300×0.3=90万円、となるので、粗利として300-125-90=85万円弱ということになります。
なんだ~経営って簡単だ~と思って頂くと落とし穴がいっぱいあります。たとえば諸会費、保険代、年金など、この85万円弱からこれらを差し引くと手に残るのはあまりないのが実情です。
もしも、借入金が5000万円としたら151765円から252942円に跳ね上がるので75万円弱ということになります。
前述したようにこの中から、諸会費、年金、諸々の保険代などが出ていくので生活費を含めた可処分所得は40万円にもならないかと考えます。もちろん、この中から、貯金などは賄われるのです。
福岡県歯科保険医協会の会費は4000円/月、中退金8万円/月、歯科医師会の諸経費は地区によっても異なりますが10~20万円以上、年金を含めるとそれ以上数万円かかると思います。
買った保険が手厚い補償内容の商品であれば、これまた数万円/月 掛かると考えていいでしょう。
福岡県保険医協会ではこういった「経営」に関してもアドバイスできるよう準備しております。


