「療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令」 の改正案に対する規制改革会議の見解 平成21 年5月7日 規制改革会議 レセプトオンライン請求の原則完全義務化は、医療のIT 化、ひいては国民が 求める「質の医療」を推進するために欠かせない、今後の医療政策の根幹をな す政策である。今般、講じられようとしている標記省令の改正は、こうした政 策の着実な遂行を停滞させる措置と考えられることから、本件にかかる当会議 としての見解を提示する。 記 1.平成17 年12 月の医療制度改革大綱(政府・与党医療改革協議会)を端緒 として、爾後、累次の当会議答申及びそれを踏まえた規制改革推進のための3 か年計画(閣議決定)において、平成23 年度当初からのレセプト請求の原則完 全オンライン化が政府の方針として決定されており、順次、義務化が進められ ているところである。 このような中、本年4月以降、オンライン請求が義務化された @ 400 床以下でレセプト電子請求を行っている病院 A レセプトコンピュータを使用している調剤薬局 について、準備が間に合わなかった病院・調剤薬局が一定数存在することが 判明したが、これらを対象に一律に最大1年間の猶予措置が講じられることは、 上記の政府の方針を逸脱するものである。 厚生労働省は、当会議の質問状(別紙1)に対して回答した「療養の給付及 び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令の改正案について(回答)」(別 紙2,本年4月27 日付)の中で、今回の猶予措置について、「地域医療に重大 な影響を与えることが懸念される」ために講じるものと述べているが、その根 拠を示しておらず、極めて不適切である。 2.平成18 年4月10 日に標記省令の改正により義務化が決定されてから十分 な準備期間があったにもかかわらず、準備が間に合わない事態となったことは 誠に遺憾であり、義務化直前になり猶予措置を講ずること、また、これら準備 が間に合わない病院・調剤薬局を理由の如何を問わず一律に救済することは適 切でないと考える。この点に関して、当会議では、例えば平成19 年4月の厚生 労働省からのヒアリングにおいて注意喚起を行い、同省から、期限は努力目標 ではなく義務であり、期限後は従前の請求方法では診療報酬は支払われないと の回答を得てもいる(※)。また、レセプトのオンライン請求化を指導する立場 にある厚生労働省保険局の責任者はヒアリング当時から替わっていない。それ にもかかわらず今般の事態を招いた厚生労働省は、本年4月に至るまでの間、 一体何をしてきたのか。更に言えば、十分な調査もせず、従って明確な根拠も 無いままに、地域医療への配慮との理由を以って一律の猶予措置を設けるのは、 厚生労働省自らの不作為、及びその責任を曖昧にしようとしているとの疑念さ え抱かざるを得ない。厚生労働省は、早急にかかる事態を招いた原因を分析・ 公表した上で、その責任を明確にすべきである。 ※URL:http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/wg/2007/0402/summary0402.pdf 3.厚生労働省は、義務化期限に間に合うよう適切に対応した病院・調剤薬局 が大多数を占める状況に鑑み、これらの病院・調剤薬局との均衡を逸しないよ うな措置を早急に講じる必要がある。均衡を欠いたままでは省令軽視の風潮が 生じかねないことを強く懸念するためである。 具体的には、改正省令案にある「平成22 年3月31 日までの間で当該請求が 行える体制の準備に必要な期間を勘案して厚生労働大臣が定める日」とされた 猶予期間については、厚生労働省は半年以内を目途とするとの意向を示してい るが、早期のオンライン化促進の観点から、可能な限り速やかに猶予期限を定 め、月次の進捗管理に基づき状況を逐次公表するとともに、厳格な指導監督を 行うべきである。加えて、勧奨・指導に従わない病院・調剤薬局に対しては、 適切にオンライン化に対応した病院・調剤薬局との間に何らかの差異を設ける とともに、猶予期限到来後については、診療報酬を支払わないとする旨も徹底 すべきである。 こうした措置については、改正省令案が公布・施行される期日と同時か、も しくは公布・施行後速やかに公表する必要がある。 4.今回のような措置が再度講じられることがあってはならない。当会議とし ては、今回対象とされた病院・調剤薬局の速やかなオンライン請求化への移行 はもとより、特に来年4月に義務化されるレセプトコンピュータを使用してい る病院・診療所に対する厚生労働省の早期の実態把握と指導監督を促し、オン ライン請求化の準備が遺漏なく進められるよう、今後とも厳格に監視していく こととする。 以 上