2009年11月25日の中医協総会、基本小委の概要 改定幅について支払側・医療側が激論…公益委員があずかる  25日、中医協総会と診療報酬基本問題小委員会が開催された。総会では厚労相に提出す る改定幅への意見具申書について議論。支払側は「診療報酬の引き上げを行う環境にはな い」と主張する一方、医療側は「診療報酬の大幅な引き上げによる医療費全体の底上げを 強く求める」として一歩も譲らなかった。  基本小委では歯科診療報酬と調剤報酬について資料が配付され、若干の審議が行われた。 また総会の最後の部分で医療側より日医提出の資料として「TKC 医業経営指標」が配布さ れた。さらに支払側より、先日の薬価部会の朝にマスコミで「厚労省は薬価特例を導入し たい」と報道され、さらに本日、中医協の開催前に「厚労省、診療報酬の増額要求」と報 道された件に触れて、マスコミ報道と中医協の関係について質問が出された。 ○総会  改定幅について支払側は、「これ以上の保険料引き上げや患者負担増は無理。診療報酬 を引き上げる状況にない。産科、小児科、救急に重点配分してほしい」と述べたのに対し て医療側は「今の医療崩壊は4 回のマイナス改定によって引き起こされた。大幅な引き上 げを」と求めた。これに対し支払側は「マイナス改定が医療崩壊を引き起こしたとの認識 はない」としたのに対し医療側は「保険財政の逼迫を言うなら、国庫で補完してもらうべ き。新しい政権は医療費を上げると言っている」とした。  さらに医療側は「われわれが求めている引き上げは、過去に下げられた分を元に戻して ほしいということ。医療崩壊を回復するには4000〜6000 億円必要だ」「引き上げで患者負 担が増えるというが、国庫で自己負担を2 割に下げてもらうよう要求しよう」「歯科では 20 年前と比べて収支差額が3 割も減っている。医科以上の危機だ」と述べた。これに対し 公益委員より「最善の医療を整えることが重要なことはよく分かるが、財源を明示しない と財務省には納得してもらえない」との意見が出されたが、医療側より「そういう財政重 視で押し切ってきた結果が医療崩壊だ。金で買えないものがある。内需拡大のツールとし て公費を考えてほしい」とした。  会長は「両側の意見は一致していない。公益側あずかりとして、公益側がとりまとめて 次回に提示したい」として収めた。事務局から次回は12 月上旬を予定しているとの説明が あった。  この後、医療側・安達委員より、日医提出の資料として「TKC 医業経営指標に基づく動 態分析の概要」の簡単な説明が行われた。「TKC の医療機関経営指標は医療経済実態調査 と違い、毎年・定点で調査を行っている。標本数も実調より多い。医療機関の経営実態を 見る際の参考にしてほしい」と述べた。  また支払側委員よりマスコミ報道と中医協の関係が質問され、事務局より「診療報酬増 額要求とあるが、医療課が発信した内容ではない」、また審議官より「増額要求は、大臣 の了解をとって省として決めたものではない」との説明があった。 基本小委 ○歯科診療報酬 歯科診療報酬は、1)在宅歯科の推進、2)障害者歯科医療の充実、3)患者の視点に 立った歯科医療、4)生活の質に配慮した歯科医療、5)歯科固有の技術の評価、の5点 を柱に、それぞれ論点が説明された。 1)在宅歯科の推進  論点は@歯科訪問診療をより分かりやすい体系とするため診療報酬でどんな方策がある か、Aきめ細かな歯科管理を行う評価をどうするか、B在宅治療が困難な患者を受け入れ ている病院歯科をどう評価するか、C医科医療機関や介護関係者との連携促進をどう評価 するか、の4点である。  医療側より「高齢者が増え、訪問診療も増えている。一層推進したい。ただ患者さんの 容態や機器の持ち運び等で困難な点もある」との説明があった。 2)障害者歯科医療の充実  論点は@障害者にきめ細かい口腔衛生指導等を行うことをどう評価するか、A障害者を 受け入れている病院歯科をどう評価するか、である。  医療側より「障害者は歯科医療機関を訪れることがなかなかできない。病院歯科へ紹介 することが重要だ」との説明があった。 3)患者の視点に立った歯科医療  論点は@歯科の情報提供については算定要件をより明確にし、適切に情報提供できるよ う評価を見直すことについてどうか、A難解な歯科用語を見直すことについてどうか、で ある。  医療側より、「医療は患者さんと歯科医師の共同作業。インフォームド・コンセントが 重要だ。歯科では難しい用語が使われているので、分かりやすくしたい」との説明があっ た。 4)生活の質に配慮した歯科医療  論点は@有床義歯の修理について、歯科技工士の技能を活用している医療機関の評価を どうするか、A乳歯の早期喪失などによる小児義歯をどう評価するか、B咀嚼機能障害を 有する患者への咀嚼機能改善をどう評価するか、である。  医療側より「義歯については、何日で現状復帰できるかとの視点が重要」としたのに対 し、支払側より「日数は(技工士など)地域によって差もあるのでは。日数で差をつける のはいかがか」との意見も出された。 5)歯科固有の技術の評価  論点は@歯周疾患やう触の技術について評価の見直しを行うことはどうか、A有床義歯 の治療については義歯調整等の実態に合わせた評価をどうするか、B口腔内写真検査や、 補綴物維持管理等の簡素化を図る観点から評価をどうするか、C医科歯科共通の医療技術 のうち、並行して検討するべき技術の評価をどうするか、である。  医療側より「歯を残す技術こそを評価してほしい。」との意見があった。 以上の説明を受けて会長より「今後さらに議論を深めたい」と締めくくられた。 ○調剤報酬  論点は@後発医薬品調剤体制加算を、積極的でない薬局があることもふまえ、算定要件 を含めた加算のあり方をどう考えるか、A長期投薬における一包化調剤料と内服薬調剤料 の差を縮める評価をどうするか、また22 日を超える内服薬調剤料をどう考えるか、B投薬 日数の伸びを受けて漢方の湯薬調剤料をどう考えるか、Cハイリスク薬剤の調剤報酬をど う評価するか、D調剤基本料の特例(18 点)の取り扱いをどのように考えるか、である。 これについても会長より、さらに議論を深めたいとされた。 次回の基本小委は11 月27 日の予定